otsunekoの日常

退職から転職まで

目次

TL;DR

  • 2019年8月に、1社目の会社を辞めました
  • 2.5か月の無職期間を経て2019年11月中旬から知人に紹介してもらった外資系企業で働いています
  • 落ち込んだりもしたけれど、わたしは元気です

退職するまで

2019年8月、僕は社会人として初めて入った会社を退職しました。伝統的な日本の総合電機メーカーでした。結果として6年とちょっとの在籍になります。SI的なことをする部門でSEとして働いていました。

当時の上長に退職の希望を伝えたのは6月のボーナス前面談の時でした。その前の4月頃には当時PLとして参画していた案件で精神面体力面全てにおいてゴリゴリに削られていたため、プロジェクトの後任を立ててもらい夏頃に案件から外れる方向で上長と話をしていました。4月時点では休職の方向で相談していましたが、結果的に退職希望とし、8月いっぱいは有休を消化して退職しました。色々と迷惑をかけたにもかかわらず多くの方に労って頂けましたし、数多くの得難い経験が(良くも悪くも)できた会社だったので、基本的には感謝でいっぱいです。基本的には。

退職理由

退職理由はいくつかありますが、ここでは主要なものとして以下3つについて述べたいと思います。

1. 拘束時間が長い

2. 会社に一切ワクワクできる要素がない

3. いろんな国の人と仕事してみたかった

なお、本エントリで使っている会社という単語は、あくまで僕の所属していた事業所という意味で使ってます。巨大な会社でしたので、所変われば文化も変わるかと思います。

1. 拘束時間が長い

まずはこれです。全体的に、業務時間内外を問わず人対人の調整業務が多く、日本特有のウェットなお付き合いに要した時間の多さが印象に残っています。

業務に関して言うと、僕は設計部門に所属しており、協力会社さんに助けてもらいながら顧客へのシステム提案から構築、運用保守までを担当していました。 24/7で稼働するようなオンプレミスのシステムを構築し、納品後も安定稼働目指して頑張るというようなことをしましたが、その大変さが身に染みて分かりました。 トラブル多発で深夜まで客先常駐⇒近くのホテルに缶詰というハメコンボは本当に強烈でした。

そして更に恐ろしいことに、設計部門には本業以外でも以下をはじめとした多種多様なお仕事がありました。総合職とはよく言ったものです。

  • 各種部内委員会業務(監査対応、資産管理、飲み会幹事、等々)
  • 自社工場内の開発・納品用サーバ機材等の配置/ネットワーク配線/電源工事等の企画・管理・他部門調整(大量の機材搬入時であれば場所取り調整とか、出庫スケジュール管理とか)
  • 新規案件受注に向けた提案計画作成、客先へのドアノック活動
  • 調達部門への発注依頼の下準備(構築システムに組み込むかもしれない各ベンダ製品の相見積取得等。案件全体予算が設計部門管理のため把握が必要)
  • 協業先と締結するNDA等の法的文書作成から法務部門を交えた内容チェック、自社開発製品の特許侵害有無調査等

これらが数少ない設計部員に積み重なることで本業の時間が圧迫され、結局定時後からしか各々の作業ができないというのが常でした。定時間内は打合せという打合せに追われ、協力会社さんへの作業依頼メールや確認メールを送ったりしているうちに終わります。もはやこうなってくると設計部門の本業って何?といつも自問自答してました。他部門の業務に首を突っ込めたのは勉強になる面もあったのですが、それも余裕があればの話…

設計部の社員は将来的に管理職になることを想定したキャリアパスとなることが多かったのですが、自分なりの結論としてPM、PLの仕事というのは自分が居なくても仕事が回っていくように各メンバーの仕事をいかに手順化するか、いかに非定形業務を定形業務に翻訳して仕事を他者に振れるようにし、自分を楽にできるかだと理解しました。

ちなみに業務時間外では会社近くの雀荘に異世界召喚されるという素敵イベントが不定期に発生し、睡眠時間と引き換えに社会というものを、そして通らばリーチは通らないということを学んでいくのでした。

2. 会社に一切ワクワクできる要素がない

年々辞めていく若手…補充されない人員…非効率な謎の社内ルールと内製システム…会議の度に発生する大量の資料印刷…進まない働き方改革…協力会社、自部門、他部門、顧客の間で伝書鳩となりひたすらメール書いたり調整に飛び回る日々…動かないシステム…辛い人間関係…増えない専門知識…増える社内ノウハウ…下がる士気…落ちていく効率…減らない業務…減る毛髪…

一体僕は何のために生きているんだろう…

3. いろんな国の人と仕事してみたかった

せっかくグローバルという言葉が使われ出して久しくなったこの時代に生きるのですから、海外の人と働いたり海外出張したいという気持ちは入社時から強くありました。入社後暫くは海外向け提案で出張もありましたが、それも会社の方針により困難になっていきました。

海外の人と働いて何を成したいのかと問われたら特に答えがあるわけではないので手段が目的化していると言われればそうなのですが、少なくともいろんな国の人と一緒に働いている自分を想像するのは、それ自体がワクワクするものであり、楽しいという感情を失っていた僕にとってひとまずは前向きな目的たり得るものでした。

無職、そして転職へ

そんなこんなで退職した僕は2ヶ月半の無職期間を過ごしました。退職直前はそれまでの案件での過重負荷や彼女と別れたこと等で心と頭がパンクしており、不眠に動悸に立ちくらみ、何なら座りくらみすら余裕だったので、療養を最優先にしました。温かいお風呂に入り22時就寝5時起床(途中何度も目が覚める)で朝日を浴びながらジョギングしたり、仕事で辛かったことがフラッシュバックしそうになったときにはひたすら深呼吸したりしました。荒ぶる心を鎮めるためにヴィパッサナー瞑想の合宿に参加しようとしたところ、無職になった息子がトチ狂って新興宗教にハマったと考えた母親にガチ泣きされ実家に強制送還されたのもこの時です。筋トレで肉体を疲弊させて強制的に睡眠へ移行するというライフハックを会得したのもこの時です。

暫くしてちょっと気力が戻ってくると、自分が仕事で学んできたことの棚卸しをしたり、図書館で本を読んだり、ラグビーワールドカップの観戦がてら九州旅行へ行ったりする余裕が出てきました。All Blacksかっこいい。

その間も転職エージェントとは定期的に会ってたのですが、「会うたび元気になっていきますね笑」と言ってもらったのは印象に残っています。

実のところ退職ちょい前まで、退職後はワーキングホリデーで単身海外に渡って、そのまま仕事が見つかれば良し見つからなければ帰国、というのを考えていたのですがこれは結局彼女と復縁できることになったのもあり辞めました。個人的に面白かったのが、周囲にワーホリを勧める人と反対する人がほぼ同じ割合で存在したことです。最終的に自分で決断する意味合いを強めたという点で良かったと思っています。

そんなこんなで知人に紹介を受けた2社と転職エージェントに紹介を受けた2社の合計4社を受けてうち2社から内定を頂くことができ、知人に紹介してもらった1社に入社することを決めました。第一志望には落ちましたが、売り手市場だったこともあり割とスムーズに決まったのと、どの面接でも前職の経験を評価してもらえたことに心底救われました。あと、無職期間中はもっと焦るものかと思っていましたが、特にそんなこともなかったので幸運だったと思います。

前職 vs 現職

転職してよかったこと

今の会社に転職してから3か月ほど経ちましたが、案件にアサインされていないのでこのエントリが執筆できる程度には暇です。案件入ったら客先出張も増えるので前職と似たような辛さがある気がしていますが、それでも拘束時間は大分減りそうなのでそこが一番ありがたいです。この状態での比較は不公平な気もしますが、案件に依らない環境面等で転職して良かったなあと思うのは以下のような点です。

  • 会社に悲壮感が漂ってない上トイレの個室が常に埋まっているということがない(超重要)
  • 総合職が存在せず各自の職種に応じて担当職務がある程度明確に決まっている(ように今は見える)ため、本業に専念できそう
  • 間接部門の社内業務がかなり定形化されており、社内システムでチケット切ればサクッとやってくれる
  • いろんな国出身の社員がいて面白いし、外国語学習もできる
  • 社員がノウハウ共有して業務効率化してくことに結構前向き
  • 紙資料を一切使わず電話もskypeなので、資料印刷の手間がなく普段の作業が支給されたノートPCで全て完結する
  • ノートPCにいろんな便利ソフト入れられるしWeb閲覧制限がない
  • フレックス勤務しても怒られない
  • 私服勤務できる(でもやっぱりスーツの方が気合入る気も…)
  • タダで水、コーヒー、紅茶が飲める
  • 会社近くに美味しい飯屋が多い
  • 会社近くのジムに安く行ける

会社に悲壮感が漂ってないって経験したら分かると思うんですけど本当に重要なんですよ…日本企業って終身雇用がベース文化にあるじゃないですか…退職者が増えてくると「お前…消えるのか…?」ってみんな疑心暗鬼になりだすんですよ…辞めるのもめっちゃ勇気要るんです…社員にとってトイレの個室がスマホいじりか睡眠のための心理的安全性確保スペースと化すんです…

でもうんこをしたい時に空いてる個室を求めて何フロアもトイレを徘徊させないでくださいマジで。

今の会社は極端に言うなら年に100人辞めて100人入ってくるような所みたいですが、今のところいい意味でドライかなと思えています。辞めてく人が「卒業します」って言ったりするカルチャーには面喰いましたし、クビになる恐怖はやっぱりありますが…

前職の方がよかったこと

これに関してはぶっちゃけほぼ一点だけです。

どちゃくそ優秀な先輩同期後輩に囲まれて仕事ができたことです。

今の職場を良く知りもしないで言うのは違うと思いますが、それでも前職では本当に頭のいい人たちが周囲にいたと思いますし、刺激になりました。劣等感にも塗れました。 特に、僕が自分の案件だけで死にそうになっているのにその案件を含む複数案件の面倒見た上で新規案件の開拓も精力的に行っていた上司は、多分僕が人生で会う人の中でもトップクラスに優秀だろうと真剣に思います。

そんな優秀な人たちが多かった前職だけに、前時代的な社内システムやルールに縛られて本業が疎かになっているのは残念でなりません。紙文化を減らしてPCメインで作業できるようにするだけでも相当現場の負担は減ると思うのですが、様々な制約があるのかもしれません。

まとめ

以上、退職から転職までを経験してみての感想でした。もう少し現職で経験を積んで、見える世界が変わってきたら再度比較してみたいと考えています。元気に働けていたらいいなあ…